四面楚歌-悲運の妃-
李燗も自室に帰り、夜の暗さが増した頃に姜賢妃が黄麟殿に渡られた。
家令である劉内侍の下についている宦官に、黄麟殿で何かあれば知らせる様にと頼んだ。
その劉内侍は特に用もないのに室に居座り、威仔が用意したお茶をすすっている。
家令という者達は通常、使えている妃の命に従い、命がなければ下がっているものなのだが…
劉内侍に至っては、私が何か言わずとも単独で行動するようだ。
「劉内侍、特に用がないようでしたらお休みになられたらどうですか?」
まだ掴みきれない劉内侍の存在に落ち着かず、退出するように急かす。
私が主であるはずであるのに、変に気を使ってしまう。
「私も今夜は黄麟殿の様子が気になるので、貴女様とご一緒にと思っているのですが?」
一緒に居たところで、軍妃官ではない劉内侍には何も出来ないというのに…
思わずため息がもれる
「何かあった場合に劉内侍は戦えぬではありませんか。」
「確かにそうですね。
四夫人以下の妃の家令とは妃の財務管理や女官には出来ぬ雑用なとが、主にですからね。
特に軍妃将軍である貴女様には必要性はあまりないでしょうね。」
私の言葉にまったく躊躇もせずに返し、自らはなんの役にもたたぬと当たり前に言い返す。
それに対して悔しさもなければ、だからなんなのだという態度だ。