四面楚歌-悲運の妃-
姜賢妃を送り出し、壁内侍も入り口の警護に加わる。
辺りはもう真っ暗だ。
入り口に灯る、炬(タイマツ)だけが明かりを灯す。
風もなく音は微かに聞こえる、黄麟殿の中の陛下と姜賢妃の会話のみ。
誰も話す事もなく、暗い静寂の中、まわりに目を凝らし気配を探る。
夜が深まり、黄麟殿の中の灯りがいくつか消え
微かに聞こえていた陛下と姜賢妃の会話は、甘い吐息に変わる。
黄麟殿の外にそびえる木々の葉が、風に揺れ音を出し始めた。
炬の火も、ユラユラと揺れる。
横に立つ壁内侍は、退屈しはじめたのか口を大きくあけてアクビをする。
その時だった。
カシャンッ
風にのり、その音は響く。
今の音は…剣がぶつかり合う音!!
カシャンカシャンと、次々に音がなる。
生聖を強く握り、集中して音の鳴る方を探る。
西…西の方だ!
西は…
「冥紗ぁぁッ!!」
悒雉!!
悒雉が刺客と剣を交えながら飛び込んでくる。
生聖を鞘から抜くと同時に、黒づくめの刺客たちが黄麟殿の下から飛び出てくる。
「剣を抜けぇッ!!」
カシャンッ
カシャンッ
カシャンッ
くっ…
剣を振り落としてくる、刺客の剣を振り払う。
宦官達も私の言葉で慌て剣を抜き、刺客の剣を交える。