優しい魔女は嘘をつく
それから、私が片方の靴を落として逃げて、待機スペースに入ったところで幕が閉じた。また、慌ただしく片付けと準備が始まる。
次の場面の準備のために、私は片方だけ履いていた靴を脱いで、堂本くんに話しかけた。
堂本くんは私から靴を受け取ると、「大丈夫か?」と心配そうに聞いてきた。
大丈夫、と私は頷く。
それから、彼の目を見てから頭を下げた。
「ごめんね。……ありがとう」
堂本くんがどんな顔をしているのかは分からなかった。
そこで、中本さんの声が流れていたことにようやく気づいて、私は慌てて言った。
「じゃ、頑張ってね」
そう言って体の向きを変えたとき、腕にパシッ、と衝撃が走った。