優しい魔女は嘘をつく

私の指を見るなり、驚いて声をあげた氷上先生。




「思ってたより酷いな……。絆創膏、持ってきておいて良かった」





先生は、心配して来てくれたんだろうか。




そう思うと、安堵からか体の力が抜けて、私は椅子に座ったまま崩れそうになった。



氷上先生がなんとか支えてくれて、私は床に倒れずにすんだけれど。




「大丈夫?」




傾いた視界に、ステージで最後の演技をする堂本くんの姿が映った。




「堂本くん……すごいですね」



氷上先生も私の目線の先を見て、ふっ、と頬を緩めた。




「やればできる奴なんだよ」





まもなく、会場が拍手に包まれる。演劇は、こうして幕を閉じたのだった。
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