優しい魔女は嘘をつく
「あのさ」──堂本くんが顔を上げる。
私と目を合わせながら、彼は真剣な顔をして聞いてきた。
「……お前が言ってた『やれること』って、こういうことだったのか?」
キュッ、と上履きがリノリウムの床を擦る。
それは、屋上で私が言ったことだった。
速度を落とさずに、私は彼の隣を歩きながら考えた。でも、すぐに答えは出た。
「『やれること』なんて、初めから無かったよ」
「……」
堂本くんは驚いたりしなかった。
きっと、彼も気づいていたんだろう。やれること、なんて無かった。
″透明″になってから、私にできることなんて何一つ無かった。