主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③ 
天満は異変に気付いて朔と輝夜が眠っている部屋にやって来て、ふたりの間に座った。

今日は母の元に泊まりに行っているはずなのに、何故か戻って来て寝ている――


先程は雪男が慌ただしくしていたし、百鬼夜行に出ていたはずの父の姿も見かけた。

何かただならぬことが起きていると分かると、普段大人しい天満は部屋を出て父と母の部屋に入って行った雪男を見かけて障子に耳をあてて聞き耳を立てた。


「で、どうする?」


「この状態に陥ったら俺たちにはなにもできん。今は朝を待って地下のあれに会いに行く他ないだろう。俺は今から朔たちの所へ行く」


「ああ、そうした方がいい。俺は息吹を見てるから」


「…妙なことをするなよ」


「妙なことなんかするか!早く行けって」


雪男に急かされて部屋を出た主さまはそこで聞き耳を立てている天満を見下ろしてふっと苦笑した。

やはり勘付いていたかとじっと見ていると、天満は居心地悪そうに身体を揺らしていて、抱き上げて額に額をこつんとぶつけた。


「全部聞いていたな?」


「あの…はい…ごめんなさい」


「息吹は大丈夫だ。お前にも明日ちゃんと説明するが、このことはお前より下の弟妹たちには言うな。余計に心配させるだけだからな」


「はい。父様、母様は寝ているんですか?大丈夫なの?」


主さまは障子を閉めながら頷いて、この子にも地下の件を打ち明けなければと内心ため息をつきつつ縁側に座って夜空を見上げた。


「特異な状況ではあるが、大丈夫だ。お前たちが傍に居れば早く目を覚ますかもしれないから、頼んだぞ」


「!はい!」


少し垂れた目をさらに和らげて笑った天満の頭をぐりぐり撫でた主さまは、少し時間を置いて天満との時間を持ってそのまま抱っこして朔たちが寝ている部屋に行った。


兄弟たちは結束が固い。

特にこの三兄弟の結束は固く、大きくなってもこうして手を取り合って協力し合ってもらいたいものだと願いながら、安心してすやすや寝ている朔たちの寝顔を朝まで見続けた。
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