甘いチョコとビターな彼


「っ……!」


今、初めて私の名前────


「ほんとアホ」


「えっ…?」


頭上から声がしたと思ったら、手にあったはずの重みが消えて、下げていた頭に重みが乗った。


「?……これ……」


頭の重みを手に取ってみると、彼の手にあったはずの1つの袋がそこにあった。


「お前のだよ」


「え!?」


「なんだよ、嬉しくないわけ?」


「え!?ち、ちがっ!だって!これは彼女がチョコくんにあげたものでしょ!?」


「「え?」」


少し離れたところから私たちを見ていた彼女の声と、チョコくんの声が同時に重なる。


「……お前、何勘違いしてんの」


「え…え、っ?」


「あの、小枝さん……それは私が渡したものじゃないよ」


「え……」


「私は完璧に振られちゃったから」


どこかスッキリしたような表情を浮かべる彼女の手には、可愛らしいラッピングが施された袋があった。


「それじゃあ、私はもう行くね」


「受け取れないけど、ありがとな」


「うん。……ふふ、お幸せに」


「っ、」


「お幸せに…?」


不可解な言葉を残して踵を返した彼女の後ろ姿を見送りながら、私は頭上にクエスチョンマークを作る。

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