甘いチョコとビターな彼
「で、でもチョコくん……よかったの?自分が作ったチョコって言っちゃって……」
「あー、いいんだよ。もう隠すつもりないから」
「え?」
「お前に脅されてることなんてとっくに忘れてたよ。俺はもう、家のことも父さんのこともカッコ悪いなんて思ってないし。
……そのチョコだって、お前の笑顔が見たいって思ったから、作ったんだ」
「チョコくん……」
恥ずかしそうに視線を泳がす彼から、その言葉に嘘はないとわかる。
「えへへ……やっぱりチョコくんのこと、好きだなぁ」
「なっ…!」
「チョコくん、ありがとう」
「……彼女になったんだから、いつまでもチョコくんはやめろ」
「っ、た、辰巳…くん」
「なに?……梓」
「っ、」
優しく覗いてくる彼に、胸が痛いくらいに音を鳴らす。
「あ、あの、私が渡したやつ!チョコチップクッキーなんだけど……初めて作ったから、美味しくないかも」
「あぁ…それなら俺だって、結局父さんに完璧な評価はもらえなかった……だから、専門学校に行くことに決めた」
「え?」
「1から学び直して、いつか父さんの……ショコラ・エテルニテの味を完璧に再現できるようになるのが、今の俺の夢」
「…うん、絶対に叶うよ」
「そんで、もう1個」
「え?……っ!」