政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
カリフォルニアスタイルな邸宅のポーチに、将吾さんが佇んでいた。朝日の逆光を浴びて、カフェ・オ・レ色の髪に見える。
「ビバリーヒルズ青春白書」のテーマが、♪チャラララッ、チャッララ~と聴こえてきそうだ。
「……おまえ、スマホは?」
史上最悪値で不機嫌な顔をした将吾さんが、低い声で訊く。
わたしは肩にかけたボリードの中から、スマホを取り出す。
「あ……充電切れ」
とつぶやくと、
「バカかっ!おまえはっ!?」
いきなり大音声が返ってきた。思わず両手で耳を塞ぐ。前の「家出」は故意に電源を切っていたのだが、今回は「自然現象」だ。
「捜索願を出すところだったんだぞっ!?」
将吾さんは予期していたのか、モバイルバッテリーをポンッと投げてよこした。ちゃんとiPhone用だ。
スマホとバッテリーをつないで起動させ、LINEにタップすると、各方面からものすごい数の通話とトークが来ていた。
両親と弟の裕太はもちろん、親友の華絵、会社の島村さん・七海ちゃん、親類の蓉子・慶人・大地・太陽……中でも群を抜いて多かったのが、将吾さんと海洋だった。
「ひいぃっ……な、なんでっ?
いい大人がたった一晩、家にいないだけで、なんでこんなに大騒ぎになってんのっ!?」
わたしはとりあえず、
【お騒がせしました。わたしは無事に生きております】
というメッセージを関係各所へ打ち続けながら叫んだ。
「おまえが真夜中に黙って抜け出すからだっ!」
……な、なぜ、そこまで知ってるの!?
「朝比奈 海洋からおれの会社用のケータイに、
『彩乃が突然いなくなった、居場所を知らないか?』と連絡があった」
……海洋が将吾さんに!?
「あのクールな男が、結構、テンパってたぞ」
……う、うそっ!?
あの、いつも冷静沈着で表情に出ない海洋が?
……電話ででもわかるくらい?
「親戚中に電話したみたいだぜ」
……ま、まさか。
海洋と尾山台のマンションで一緒にいたの、親戚中にバレちゃった?