政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「将吾とわたしの結婚は、日本の経済界に関わるものなの」
確かに、わたしと将吾は互いに愛し合うようになったから、もう「政略結婚」ではなく、ただの「恋愛結婚」と言っていいのかもしれない。
だが、この国の基幹産業である自動車メーカーを母体としたTOMITAホールディングスの「御曹司」と、この国のメガバンクの一角を成すあさひJPNフィナンシャルグループの創業家「令嬢」との「結婚」であるという事実が消えるわけではない。
「たとえそれが『誤解』であったとしても、一旦週刊誌などが『婚約者がいるのに、ほかに女性がいる』とか『結婚しているのに愛人がいる』とかいってスキャンダルとして書き立てれば、信用問題となり、下手をすれば互いの会社の株価が下落し、関連企業にまで影響を及ぼすことになりかねないわ。特にTOMITAは世界的な企業よ。その影響は国境を越えて、何万人…いいえ、何百万人もの人たちの人生を左右するかもしれないのよ」
大企業の創業家は、一族全体で、いつもその重圧と闘っているのだ。
「そうなると、将吾は役職を投げうってでも、責任を取らなければならなくなるわ」
わたしは、彼女を見据えた。
「あなたに……その覚悟はある?」
……その覚悟の下で「自爆テロ」ができる?
わかばちゃんの顔がさーっと青ざめた。
将吾の役に立てることを考えて、今まで生きてきたであろう彼女にとっては、彼の未来に影を落とす原因になることだけは……
……絶対にしたくないだろう。