御曹司と婚前同居、はじめます
「髪はどうしようかなぁ」
 

普段ヘアアレンジなんて全くしないので、こういう時ささっと手際よく髪をまとめることができない。

何かないかと視線を巡らすと、アクセサリーなどを収納してある場所にピンクベージュのシュシュを見つけた。

いつもの黒いゴムを使って少し高い位置で一つ結びにして、上からシュシュで飾るとそれなりに見える。

よし、これでなんとか。

あまり待たせてはいけないと急ぎ足で廊下へ出ると、玄関で壁に背を預けている瑛真がいた。


「靴はこれを履いてくれ」


つま先を揃えて置いてある靴は、以前どこに履いていくのだと思っていた高級ブランドのものだった。

汚したらどうしよう。


「どうした? 気に入らないのか?」

「……ううん」


そんなわけない。すごく素敵だ。

覚悟を決め、ハイヒールを履くと視界が一気に高くなる。

うわっ。こんなので歩けるかな。


「俺の腕に掴まって」

「でも」

「介護している時は腕を持っているじゃないか」

「意味合いがちょっと違うんだけど」


まあ、いっか。腕に手を添えるのと支えるとの違いだ。

いざとなれば私が瑛真を支えることができるし。……できるのかな?

今のお年寄りは背が低い人が多いけれど、私達世代が歳を取った時介助する側は大変だな、と思った。

エレベーターで駐車場へ降り、BMWに乗り込んだ。


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