御曹司と婚前同居、はじめます




着いた場所は瑛真と衝撃的な再会を果たした高級ホテルだった。


「ここで食べるの?」


不安げに聞くと、瑛真は穏やかに微笑む。


「そうだ。だからそんなに構えなくてもいい」


そんなの無理に決まってるじゃない!

ここは誰もが一度は泊まりたいと憧れる超一流ホテルだ。

そんな場所で、特別なことがあるわけでもない何でもない日に気軽に食事をするなんて。やっぱり私とは住む世界が違う。

テーブルマナーなどは一通り身に付けてはいるけれど、それを披露する機会はほとんどなかった。だからうまくやれるか不安で仕方がない。


「美和のお父さんもここは美味しいって言っていたよ。美和は来たことがないと聞いたから、連れて来たいと思っていたんだ」

「それは……どうも」


せっかく私を喜ばそうとして連れて来てくれたんだ。少しは嬉しそうな顔をしないと……。

頭では分かっていても鼓動は落ち着きを取り戻してはくれない。

冷や汗のせいで化粧が崩れていないか不安が増えるばかりだ。
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