御曹司と婚前同居、はじめます
「美和を婚約者として紹介してくれるのなら、私も一緒に回ってもいいかい？」

「もちろんです。その方が説明もしやすいですし」

「仲良くやっているみたいで良かったよ。美和は頑固だから、瑛真くんを困らせていないか心配だったんだよ」

「美和の料理は美味しいし、家事もそつなくこなしてくれるし、こんなに出来たお嬢さんはなかなかいませんよ。一緒に暮らしてみてますます手放したくなくなりました」

「ちょっといい加減にしてよ！　恥ずかしくて聞いてられないわ！」


咎めるように瑛真の腕を引く。


「おまえは相変わらず気が強いなあ。一体誰に似たんだか」


お父さんが困ったように溜め息を吐く。私は頬を膨らました。


「やはり親子ですね。おじさんの前だと美和はいつもより子供っぽくなる」

「そうなのかい？　私の前ではいつもこんな感じでね」

「そうですか。それはおじさんに甘えているからでしょう」


全く好き勝手なこと言ってくれるわ。――っと、気を付けないと。

尖らせていた唇を引っ込めて、改めて姿勢を正した。

視線を痛いほどに感じる。

聞けば瑛真はこういったパーティーには積極的に参加をするようにしているらしい。きっと彼の顔は知れ渡っているはず。
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