御曹司と婚前同居、はじめます
「あまりにも身勝手なお話ね」


それに、二十七歳になるまで本人に知らせていないなんてどうかしている。


「私が他に結婚したい人がいると言ったらどうするつもりだったの?」

「いるのか? 俺以外に結婚したい奴が」


ずっと黙っていた瑛真が低い声を出した。

見れば、眉間に皺を寄せて不愉快さを露わにしている。

ちょっと……何で怒ってるのよ。


「もちろん、その時は反対するつもりだったよ。瑛真くんを越える人間なんてそういないしね」


当たり前のように言うお父さんに苛立ちが募る。

信じられない。自分はお母さんと恋愛結婚したくせに、私には自由を与えないなんて。


「美和、俺の質問に答えてくれ」


瑛真は瞬きすらせずに強い眼差しを送ってくる。

だから目が怖いんだってば!


「……今はいないけど」


私の言葉を聞いた途端、瑛真は表情を柔らかくした。

この人、本気で私と結婚するつもり? 正気?
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