御曹司と婚前同居、はじめます
「喧嘩か?」

「うわっ」


タイミングよく現れたのはお父さんだった。


「びっくりした。驚かせないでよ」


今の会話聞かれていないよね?


「急な仕事が入ってもう行かなくてはいけないんだ」

「お忙しいですね」

「お陰様で」


瑛真の言葉にお父さんは嬉しそうに笑った。

お父さん、本当に仕事が好きなんだなぁ。


「今日は美和がいてくれたおかげで助かったよ」

「そうなの?」


まさかそんな言葉を貰えるとは思ってもいなかった。


「今日は父さん一人だったしな」

「そういえばお母さんは?」

「ばあさんのところに行っている。少し体調が悪いみたいなんだ」

「えっ……大丈夫なの?」

「母さんが病院に連れて行ったけど異常はなかったし、そう心配することではないよ。もし何かあったらすぐに連絡を入れるから」

「分かった。私も近いうちに顔を出してくる」

「そうしてあげてくれ」

「お父さんも無理しないでね」

「ああ、それじゃあまた」


とにかく急いでいるようで、お父さんはすぐに携帯電話を取り出して、誰かと話しながら会場を出て行った。
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