御曹司と婚前同居、はじめます
 ◇


きっちりとセットされた髪が煩わしいこともあり、帰宅してすぐにシャワーを浴びることにした。


「酔っているみたいだし一緒に入ろうか?」

「結構です!」


即座に拒否すると、瑛真は目尻を下げて笑った。

からかわれているというのにこんなにも胸が高鳴ってしまう。

滝行のごとく水圧の高いシャワーを頭から浴びて心を鎮めた。

瑛真が交代でシャワーを浴びた後、包帯を巻き直して、いつもより少しゆったりとした時間をリビングで過ごした。


「今日はせっかくの休みなのに無理をさせて悪かったな」


めずらしくブランデーを飲んでいる瑛真は、さすがに酔いが回っているようで顔色がいつもより良い。


「気を晴らすつもりだったのに、余計に嫌な思いをさせた」


べリアの社長に言われたことを指しているのだろう。

確かに心労が増えただけかもしれない。まやかさんに宣戦布告もされてしまったし。

それに、瑛真が女性たちに囲まれているのも良い気はしなかった。

黙ったままの私の機嫌を窺うように、瑛真は間合いをつめてきた。ソファが軋む。
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