御曹司と婚前同居、はじめます
創一郎さんがわざとらしく「ゴホンッ」と咳払いをする。


「俺にもメニューを」

「おまえはペリエでいいだろ」


ぞんざいに扱われながらも異存はないようで、創一郎さんは渋い顔を作りながらも頷いた。

そういえば以前食事をした時に炭酸水を飲んでいたことを思い出す。

創一郎さんの好みもちゃんと熟知しているのね。

私の豆乳カフェオレの件にしてもそうだけど、ここまでくると瑛真の特技だといってもいいかもしれない。

飲み物が行き渡ったところでやっと話の本題に入った。


「さて、どこから話そうか」


瑛真が気怠そうに胡坐をかいた。それを見て創一郎さんも足を崩す。


「私から話すことなんてないわ。美和さんには瑛真さんのことが好きだと伝えてあるもの」


本人を目の前にして堂々とした人だと感心してしまう。


「いつの間に美和と接触をしたんだ？」


瑛真が低い声で聞く。


「パーティーの時に少しだけ」


まやかさんの言葉を聞いて、瑛真は苛立ったように頭を掻いた。
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