御曹司と婚前同居、はじめます
「好きなだけ甘えればいい」


俺の身体に回っている腕に力が込められた。

いじらしい所作に、腹の奥底から感情が湧き上がるのを抑えられない。

このままここで抱いてしまいたい。

美和の頭へ顔を埋めると、長い髪から漂う甘い香りに誘われて身体が余計に疼いた。

唇を重ねると、未だに心臓が異常なくらい高鳴る。

俺がいつもこんなにも緊張していると知ったら、美和はどんな顔をするんだろうな。

……ダメだ。こんなところで事に及んだら、それこそ余裕のない奴だと思われてしまう。

理性を奮い立たせて、柔らかな唇から距離を取った。

不満そうな瞳が俺を見つめている。


「続きはベッドの上で。風邪を引くんだろう?」


美和は頬を染めあげて、恥ずかしそうに俯いた。

可愛らしい反応に心が乱されて、やはりこのまま続きをしようかと思った時。


「お父さん、何か言ってた?」


もう平然とした美和が小首を傾げた。
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