御曹司と婚前同居、はじめます
助かったような残念なような、複雑な思いのまま口を開く。


「美和は堂園化成の後継者について何も聞かされていないそうだな」

「そうだけど……え? もしかして瑛真は知っているの?」

「ああ。美和のはとこらしい」

「はとこ?」


全く身に覚えがないといった感じで眉をひそめた。

無理もない。美和は親戚付き合いも皆無だったと聞いている。


「その人で本当に大丈夫なのかな?」

「心配か?」

「うーん……」

「それなら一度、俺も含めて会わせてもらおう。堂園化成の次期社長となれば、俺にも関係があるからな」


おじさんが選んだ人間なら心配しなくても問題はないだろう。

でも、普段のおじさんの仕事ぶりを知らない美和からしたら不安になるのは当たり前だ。


「いいの? ありがとう」


美和は安心した笑顔を見せる。恋人同士になってからはこうして笑顔を見せてくれることが本当に多くなった。

ここまで来るのに時間がかかったな。
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