御曹司と婚前同居、はじめます
緊張から喉がまた乾いてしまっているし、せっかくなので飲み物だけでも頂いていこうかな。

大人しく腰を下ろすと、瑛真はテーブルの反対側に回って私の正面に座った。


「美和はつい最近、福祉住環境コーディネーターの資格を習得したよな?」


もはや私のことについて知らないことなど何一つないのかも。


「最近バリアフリー化に伴う改修工事がかなり増えているでしょ? 堂園の家も古くて段差が多いの。おじいちゃんが大変そうにしていたのを見ていたから、私生活で役立てることも出来るし、あって損はない資格だと思ったから取った」

「そうか。てっきりうちの会社に入るつもりで準備をしていると思っていた」


そんなわけないでしょう。


「国家資格でもないし、その資格一つで瀬織建設の仕事が勤まるとは思ってないわ」


それに、大手ゼネコンの瀬織建設はあまりにも敷居が高すぎる。


「その通りだな」


瑛真は深く頷いた。

自分で言っておいて瑛真の反応に落胆する。

やっぱりそうなんだ……。現場以外で介護職に携わるためにはやっぱり介護支援専門員の資格が必要だな……。
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