御曹司と婚前同居、はじめます
「美和がその気なら俺の介助をしながら建築について学んでもらおうとも思ったが、そうではないんだな?」

「うん。私は介護の仕事に携わりたいの」

「そうか」

「だから結婚して会社の仕事を手伝えと言われても無理よ」

「そんなこと言うはずがないだろう」


それは、どういう意味? 私のような低学歴の人間に瀬織の仕事は勤まらないとでも?

瑛真の考えが分からなくて、綺麗な瞳を睨むように見る。


「美和は元ご令嬢であり、現ご令嬢でもある。この意味が分かっているか?」


……急に、何?

私は眉間の皺を一層深くする。


「おじさんは美和が女の子だから最初から跡を継がせるつもりはなかったそうだ。結婚相手も瀬織建設の跡継ぎとなる俺と決まっていたから婿を取ることも出来ないし、そのこともあって、会社の立て直しと共に後継者探しも同時進行していた」


意図が見えないけれど、瑛真の真剣な話しぶりにとりあえず最後まで聞こうと姿勢を正す。
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