御曹司と婚前同居、はじめます
「副社長なら出ています」

「うん、知ってる。瑛真のいない隙に、美和さんの顔を見ておこうと思ってね」

「私に……ご用ですか?」

「美和さんって瑛真のことをどこまで知っているのかな?」


微笑んでいるのに瞳の奥が笑っていない。

そうか。この前感じた違和感はこれだったんだ。


「どこまでって……」

「あいつはね、美和さんが思っているような良い男じゃないよ」

「別に、特別良い男だとは思っていません」


あえて気丈に振る舞った。そうしないと彼のペースに持っていかれそうだったから。


「あはは。そうだよ。あいつは悪い男なんだから」

「……専務はどうしてそのようなお話を私にされるんですか?」

「美和さんのためだよ」

「どういう意味ですか?」

「瑛真って好き者なんだよ。よそで愛人を作られても、美和さんは平気なの?」


心臓がドクッと不快な音を立てた。

何て嫌なことを聞いてくるのだろう。そんなの平気なわけがないじゃない。


「親同士が勝手に決めた縁談だろう? 考え直したほうがいいと思う」


確かに瑛真自身も遊んできたと言っていた。だからといって、彼は私を傷付けるようなことはしないと思う。

短い間だけど近くで見てきたからこそ、そんなことをするような人にはどうしても見えない。
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