御曹司と婚前同居、はじめます
「さっきの話に戻るけど、俺が美和さんを食事に誘ったのも、気分が悪くなるような話をしたのも、美和さんのことが気になっているから」


創一郎さんは唐突に切り出してきて、


「て、言ったらどうする?」


甘ったるい笑顔を見せた。不意打ちをくらって心臓がドキッと跳ねる。

ああ……やっぱり私ってイケメンに弱いのね。

でも好意を抱いたわけではないから、決して惚れっぽいわけではない。

不純な気持ちに言い訳をして、ふう、と息をついた。


「からかわないでくださいよ。面白い返しなんてできませんよ」

「からかってなんかいないよ」


創一郎さんは緩やかに口角を上げて、ぐいっと顔を近付けてきた。

ち、ちかっ!

数歩後ろへ逃げる。すると背中と後頭部に街路樹の枝と葉が突き刺さった。


「危ないよ」


すぐに腕を引かれて、せっかく取った距離がまたなくなる。


「す、すみません」


恥ずかしい。動揺しているのがバレバレだ。


「じっとして。ゴミがついてる」


木にぶつかった時にカーディガンが引っ張られる感触があったので、たぶん小枝か何かついてしまったのかもしれない。

言われた通り大人しく縮こまっていると、背中を払う仕草の後に何故か後頭部も撫でられた。
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