独り占めしても、いいですか?
右手に持ったボールを高く高く上へ投げる。



それが落ちてきて、ヴァイオリンの表板に乗って…



トンッ



音が鳴るのと同時に私と秀ちゃんの演奏が始まった。



『真冬の桜』



鮮やかな前奏が流れ始めた。



この曲の季節は題名の通り冬。



もちろん冬に桜なんて咲いているはずがない。



けど、僕達の心にはいつだって君という花が咲いている。



満開だったり散ってしまったり、君はいろんな顔を見せる。



それはまるで、あの美しい桜のよう。



僕の冷たくなった手を、今日も君は隣でそっと暖める。



君の笑顔は、今日の僕を輝かせる。



君は僕達だけの、真冬の桜。



そんな意味の歌詞。


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