独り占めしても、いいですか？

「日和、朱莉達の方だけ見るんだ」



マイクに届かないくらい小さな声で透が言った。



それを聞いて、さっき朱莉達がいた場所に目を向ける。



みんなと目が合う。



それだけで、少し救われたような気持ちになった。



「秀也もそこにいる」



透の指差す方にはステージ下の審査員席付近に秀ちゃんがいた。



目が合うと、秀ちゃんはニコッと笑って手を振ってくれる。



心が軽くなった。



まだ怖い。



けど、逃げたくない。



「審査員の審議の結果、アカペラ有りになりましたー！」



審査員席の方に呼ばれた優ちゃんがステージの方へ戻って来た。



「注意書きに従うと、CDの用意が絶対ってわけじゃないからアリにしまーす！

いやー、よかったよかった！」



よ、よかったぁ…



ホッと胸をなでおろした。



「問題解決！というわけで、アピールタイムに移ろうかな！

ひよちゃん頑張ってね！」



優ちゃんが親指を立ててGOODポーズ。



「それじゃあ…Lady Go！」