独り占めしても、いいですか?
……帰り道がわからない。



目の端に赤いランプの建物が見えた。



…だめだ、いつもなら頼りになるお巡りさんも今日だけは頼れない。



交番から離れるように歩くと、ベンチがあるのを発見した。



くたくたになった足を休めるため、ベンチの端にちょこんと座る。



どうしよう、帰れなくなっちゃった。



地図を探そうにも足はぴくりとも動かないし…



泣きそうなのを我慢して、ギュッと拳を握りしめると…また、声が聞こえてきた。



「あの子、迷子かな?」



「かわいい〜!子役の子にいそう!」



「もしかしてどこかで撮影してる⁉︎」



「お人形さん見た〜い!」



冷静になればなるほど聞こえてくる声。



さっきまでは逃げるのに必死で全然気付かなかった。



周りから、こんなに見られていることに。


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