風と今を抱きしめて……
 ゴールデンウイークの慌ただしさも終わり、少し落ちつた時間が流れている。

 あれから大輔とは特に話す事も無く、真矢は以前と変わらない接客をガンとして変えなかった。


 真矢がランチタイムから戻ると、窓口には田口夫妻が来ていた。

 田口夫妻はグアム旅行を来月に決め、出発の打ち合わせに何度も足を運んでいた。

 しかし、接客しているのは大輔だったのだ。



 真矢は大輔が何か失礼な事でも言ったのではないかと思い、慌てて駆け寄ろうとした足が止まってしまった。


 大輔は、田口夫妻に今まで見せたこともない笑顔で接していた。


 その優しげな笑顔に、真矢は一瞬心臓が高鳴ったのを慌てて抑えた。



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