その男、極上につき、厳重警戒せよ

私は気まずい気分で彼を見た。
死にそうな経験をして、自身も片親だったのなら、私なんてとても甘えているように思えただろう。
だけど彼は柔らかく微笑んだ。


「君を見て、驚いたよ。攻さんそっくりの女性が受付にいるなんて。遠田社長を問い詰めたら、実は攻さんの子だっていうじゃないか。……それで、社長個人に恨みを持つ人物もある程度特定できた」

「え? 私、不正アクセスなんてしてませんよ?」

「君じゃないよ。ただ、もう一人いるだろう? あの会社で、君が受付にいることで、君と社長の関係性を疑う人物が。今、桶川に調べてもらっているから、じきに結果が出るよ」


社長ははっと息を飲んだ。今の言い方で、私も見当がついてしまった。

社長と似た私の顔を見て、不審に思い、ことさら不快に感じるであろう人物。それは、社長の実子であり会社の専務でもある、遠田護氏だ。

やがてバタバタと騒がしい足音がしたかと思うと、深山さんより背の高いイケメンが入ってくる。


「深山ー。特定できたぞ」

「相変わらず早いな」

「っと、あ、お客さんがいたんだな。悪い」


足で扉を押さえているあたりガラが悪い。お客もいるのに……とつい気になってしまうのは受付の時のくせだろうか。
何にせよ、イケメンでもガサツな人は苦手だ。深山さんのほうが好きだなと思ってしまった。


「遠田社長だよ。ちょうどいいから報告する。結果を見せてくれ」


深山さんは、桶川さんから受け取った報告書を眺め、遠田社長に見せる。

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