あの日の記憶が笑う
10時。大遅刻だ。




走っても間に合わない時間だったのにも関わらず、桜を眺め、野良猫に話しかけ、花達と日頃の不満を言い合った(一人で勝手に愚痴っていた)せいだ。




入学式から遅刻なんて最悪だ。朝から便秘で苦しむくらい最悪だ。絶対目付けられた!絶対これから宿題とか私だけ皆の倍やらされる!学級委員超とかやらされる!




あれ?またなんか違和感が…なんか間違ってるような…




「ハァ~~………」




大きな溜め息を漏らす。




…そう言えば、さっきからなんか大事なこと忘れてるような…




…ん?




「ああああああ!!!」




私は絶叫をあげ、同時に地面を蹴って走り出す。




何をやっているんだ私は!宿題大量にやらされる前に殺される!怒鳴り殺される!




まだ入学式は始まったばっかりじゃないか!全員体育館に大集合じゃないか!ハゲまくった先生も眉毛が繋がってる先生もあからさまになりヤンの生徒も全員大集合じゃないか!




体育館の扉をゆっくりと開け、中を覗きながら入るか入るまいか迷っていると、




「…何してる」




ほっほーん。こりゃびっくり。




「リアル金吉君だ」




「はぁ?」




「知らない!?そんなに似てるのに!?あたしゃびっくりだよ!」




「うるせぇな。こっちがびっくりだわ」




「金吉君はね、『お猿丸』というアニメに出てくる金が大好きな汚い人間だよ!しかも子供だよ!?びっくりだよ!まさかこんなところで会えるなんて!大ファンです!握手して下さい!」




「テメェ、バカにしてんのか」




「まさか!尊敬してるんだよ!あそこまで金の為に命張れる子供はいないよ!」




「マジ意味わかんねぇ。朝から嫌な奴に会っちまった……ん?」




急に顔をしかめて私の顔をジロジロと見てくる金吉君。




「テメェ…今朝の奴じゃねぇか」




「え?会うのは今が初めてだよ?何言ってるの?頭大丈夫?」




「テメェの頭が大丈夫かよ!今朝角曲がったとこでぶつかりそうになったじゃねぇか!」




「あ~!!…………あぁぁ…今朝の…」




「ぜってぇ覚えてねぇだろ…はぁ…」




金吉君は深い溜め息をして私の横を通りすぎ、そのまま体育館に入ってしまった。




放置された私は数秒の遅れをとった。




………ハッ!!




出ていくタイミング逃した!!!
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