好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。




────…舞。


席に戻って、未だ帰ってこない隣の席を見つめながら思う。



俺は、一体どうすればいいんだろうと。




まずは会話がしたい。


舞の目を見て話したい。



けど、これ以上迫って嫌われるのも怖かった。



「よっわ、俺…」


はぁ、とため息を吐いて頭を抱え込む。




…もう、夏休みが始まってしまう。


俺のバカな行動のせいで、舞と作れるはずの思い出が作れなくなるのはどうしても嫌だ。




「…あ、」


そしてもう一つ。


俺は、大事なことを忘れていた。



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