好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。


***



「なんで土曜の昼間から…」

「まぁまぁ。アイス買ってやるから」

「…バニラなら許す」

「任せろ」




その週の土曜日。


母さんの買い出しに駆り出された俺は、暇だと嘆いていた舞を誘っていつものスーパーへと来ていた。



醤油を買い忘れたから買って来い、なんて無理強いされたけど、まぁ舞がいてくれるならそれも有りかなぁと。




「ポテチはいいの?」

「昨日食った」

「流石すぎて何も言えないです」

「そりゃどーも」


全く恋人の会話らしくない、俺らの会話。



けどそれがどうも心地よくて、幸せで。



にやけそうになるのを必死に抑えていることを、きっとこいつは知らないんだろう。



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