イジワル男子の甘い声
「カバーは、本家の方も大切にって気持ちで歌ってから、全部自分で出さなくてよかった。けど、俺の曲だって渡されたものはどう歌っていいのかわからなくて」
いつも基本意地悪で、何考えてるのかわからなくて、人に興味なさそうな柏場の口から、まさかそんな言葉が出てくるなんて。
色々考えながら歌ってたんだな、と感心する一方、やっぱりそういうところは私の思い描いていたsakuだ。
「いいのかな。私が聴いて。私歌に関してはど素人だし、こういうのって、世に出すより先に私みたいな人間が触れちゃいけないんじゃ…」
「いんだよそういうのは。吹き込むのは俺だし、もう俺の曲なんだから」
柏場はそういって、無くなりかけてるクッキーをまた一つ口に咥えてから、私に「来て」と声をかけた。