イジワル男子の甘い声
─────ガチャ
この部屋に入るのは、今日が2回目。
初めて入った時は、柏場がsakuだってことを受け止められなくて、ショックのあまり飛び出したっけ。
懐かしいな。
『絶対入るな』
そう言われてた部屋に、自然と入れてもらえたことに嬉しくなる。
「顔固まりすぎ」
部屋の中央でヘッドフォンを耳に当てた柏場は、閉めたばかりのドアの前で突っ立ってる私を見てそういう。
「…うっ、だって…」
「歌うの俺だし。お前が緊張してどーすんの」
固まるのも無理ないよ。
ずっと好きだった歌声を、今からこんな近くで、生で聴けるなんて。
テレビにも出なければ、ライブもやらないsakuだ。私が初めてになるかもしれないと思うとよくわからないプレッシャーで潰れそう。