あなたと。
---------------
だんだん夜も暑くなり、
レンさんに会ったあの夜から1週間が過ぎた。
会社の食堂でランチのデザートを食べながら
あの日の事を思い出していた。
あの夜は緊張しすぎてぎこちなく早めに店を出てしまった。
でも、、
学生の時の様なドキドキ感とと大人の甘い香りが
記憶にずっと残っている。
"なんだかまた会いたい。"
ふとそう思わせる記憶。
"でもまたまんまとまた行くのもなんか悔しい。。"
彼はきっと私だけじゃなくて、
他の人の要望にも答えてるはず。
"別に私が特別なわけじゃない。"
そう思うと、
行こうとする気持ちを押さえ込んでしまう。
"今日は仕事終わって早く帰って映画でも見ようかな.."
ランチを食べた後歯を磨きながら1人で考える。
"無理に思い出そうとせず、自然に好きな事をしよう。"
そんな小さな目標をひっそり掲げた私は
仕事を早く終わらせるように集中していた。
----------
「お疲れ様でしたー!!」
「え?!雪ちゃんもう上がり?!」
「あ、はい。すいません!予定があって!」
「デートだなー?♪お疲れ様〜♪」
「デートじゃないですよ〜!すいません、お先です!」
さらりと挨拶して事務所を出る
定時を少しすぎた時間にはタイムカードを押せていた。
"なんか夢中で仕事頑張った!私偉い!"
ほぼ目星をつけていたアクションのDVDを借りて
家に帰る予定を、頭の中でイメージし始めていた。
マナーモードにしていた携帯の画面を5時間ぶりに見る。
"よしまだゆっくり帰れる。ん、通知が来てる。"
友達の愛からだ。
《今日久々飲みにいける?!会いたーい!》
愛とは月一位で飲みにく仲で
気兼ねなく話せる大好きな友達だ。
《私も会いたーい!いつものとこで1時間後ね!》
DVDはまた今度でいいや。
愛と久々に会いたいのも本当だし。
さっきまで頭にあった映画の予定を消して
急いで会社を後にした。