あなたと。
会社を出て最寄り駅まで歩き、
一駅で繁華街に着く。
なんだか急に楽しみになっていた私は
足速に、20分前には集合場所に到着した。
「ゆきー!お待たせー!」
「あいー!久しぶり!
さー!飲むぞーーー!」
再会を喜びながら、行きつけのお店に向かう。
「いらっしゃいませー」
奥の角の席に案内される。
ビールを2人分注文すると、愛がいつもの質問をする。
「最近どうよ?」
一瞬レンさんが頭によぎったが、
まだお店に一度いっただけだったので
言うほどでもないだろうと思い、
「特に何もなし!!」
と、笑いながら答える。
「私も何もなし!」
いつもこんな取りをしながら、
会社の愚痴や思い出話しをつまみに、
お酒を飲むのが好きだ。
しばらく会話を楽しんでいると、
隣から視線を感じた為
身体が反応してそちらに目線を向ける。
すると、隣にいた私達より5歳位に年上そうな
男性2人とふと目が合う。
それとほぼ同時に声をかけられた。
「お姉さん達は2人で飲んでるの?」
そう言われた私は愛にアイコンタクトをとる。
大丈夫だ と訴えられるのがすぐわかった。
「はい、2人で飲んでます」
愛が先に答える。
「一緒に飲みませんか?」
"やっぱりそうくるよね。。まあ少し面白そうな人達だし、いいか"
なんとなく雰囲気をみてそう思った。
「いいですよー。」と返事をし、
改めて4人で乾杯をする事になった。
私も別に嫌ではなかったし、
翌日も仕事の為長居するつもりではなかった為、
その場をただ楽しもうと思った。
そんな私の隣に座ったのは、顔の整ったカジュアルな服装の男性だった。
「お姉さん何歳ですか??」
ありがちな質問に、
「27歳です。お兄さんは?」
と、その後も質問に軽い受け答えで会話を続けた。
"愛ともゆっくり話したかったけど、
少し喋ってお店移動したらいいか"
最初はそんな事も考えたが、
お酒が入っていた事もあって
だんだん会話も盛り上がった。
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しばらく時間が経ってお互いに慣れて来た頃、
ひとつだけ違和感を感じていることがあった。
彼らの匂いだ。
香水をつけているのはわかったが
好きな匂いではなく、
時間を置いて身体に馴染んでいるであろう香水と
体臭の混じった匂いは、
私の脳が拒否していた。
"嫌じゃないけど、この匂いの中ずっと居ると
気分悪くなりそう。。。"
"あー....レンさんの匂いがよかったな。
また近くで香りたい。"
いつのまにか本能がそう訴えていた。
4人でしばらく会話した後、
終電がないからと嘘をつき愛と店を出る。
「楽しかったけど、ちょっと後半疲れたね、
でも会えてよかった〜」
愛も、もうあの雰囲気にはお腹いっぱいだった様だ。
「私も楽しかった〜!
でも、あの2人香水の匂いがきつくて具合悪くなるとこだった。。」
それを聞いた愛は、「そう?」
と、彼女には大きな問題でもなさそうだった。
"やっぱり匂いなんでも合う合わないがあるのかな?"
そのまま愛と別れた私は、
レンさんの香りをふと思い浮かべて、
家へと帰っていった。