aventure
その日から波瑠は父を避けてる。

母との確執がある事は理解できても
あんなに若い女と浮気してるのは許せないし、
そんな父を汚いと思った。

波瑠は父を唆してる女が気になって
次の日、父と入ったマンションの前で彼女が出て来るのを見張った。

女の後を尾け、彼女が同じ大学の二年生である事を知った。

波瑠は思い切って声をかけてみる事にした。

「あの…」

「はい?」

桜智は声をかけられた男を見て
少し驚いた。

なんとなく鴻に似ていたからだ。

父譲りの端正な顔立ちを持つ波瑠は
桜智の気持ちを少しだけ動かした。

「君、何年生?」

「え、に、2年ですけど…」

「あのさ、彼氏とか居る?」

桜智はこの直球な質問に恋の予感をかんじた。

「あ、いえ。」

鴻は彼氏とは呼べないし、まぁいいかと思って
桜智は気軽に返事をしてしまった。

「今日、授業終わったら暇かな?」

「え?…あー、まあ少しなら。」

「良かったら飯でも食わない?」

「あ、はい。」

波瑠は簡単な女だと心の中で軽蔑しながら
桜智を誘った。

何も知らない桜智はただ浮かれていた。

「自分は建築学科4年の川上颯斗です。」

波瑠は自分の友人の名前を語り
桜智は自分の名を名乗った。

「デザイン学科2年の永瀬桜智です。」

それが桜智と波瑠との出会いだった。




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