aventure
波瑠は鴻と話すつもりでその夜早く帰った。

部屋で鴻の帰りを待っていると
鴻は帰って来るなり波瑠の部屋を開け
いきなり入ってくると思い切り波瑠を殴った。

波瑠は殴られて桜智が鴻と別れると決めた事を知った。

「お前、どういうつもりだ?」

波瑠の口の中が切れて口端から血が滲んでる。

「親父こそどうするつもりだよ?

桜智を本気にさせて…飽きたら捨てるんだろ?

それとも家族を捨てて桜智と暮らすのか?」

鴻は波瑠にそんなことを言わせてる自分を恥じている。

それでも桜智を家に帰らせるのは心配だし、
息子の波瑠の事も心配だ。

「波瑠…お前は本気なのか?

本気であの子を幸せにしたいと思ってるのか?

俺のことがあるからあの子に近づいたんだろう?」

「あの子は…桜智は…親父に騙されても本気で親父を…

俺となら桜智は普通の恋愛ができる。

金の発生しない純粋な恋愛が…」

「もう普通じゃないだろう?

私はお前にだって普通の恋愛をして欲しい。

普通に出会って私をお前の父として見てくれる人と一緒になって欲しい。

桜智にはもうそれは不可能だ。」

「親父のせいだろ?

先に出逢ってたのが俺なら…桜智は金なんか無くてももっとまともに幸せに生きてたはずだ!

親父が桜智の人生を狂わせたんだ!」

その時、部屋の扉が開いた。

その声を翠が聞いていた。

「あなた達何を言ってるの?

桜智って誰?

親子で同じ女を取り合ってるの?」

鴻は何も言わずに部屋を出て行った。

「波瑠!そんな女、許さないわ!

お父さんと関係を持った女なんて正気なの?」

波瑠も翠を押しのけて部屋を出て行った。

凪だけが何も知らずに自分のベッドで眠っていた。





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