aventure
妻と母と手切れ金
鴻がどんな女と付き合って居ても構わないつもりだったが
事態はかなり深刻だと翠は思った。

「まさか親子で同じ女を取り合うなんて…」

翠は鴻が付き合ってる女が誰なのか調べさせ
鴻がマンションに桜智を囲っていることを知った。

「飽きれた。

波瑠より年下じゃない?

しかも波瑠と同じ大学の女の子なんて…

あの人…絶対どうかしてるわ。」

そして桜智の住むマンションへ出かけた。

桜智は思わぬ客に困惑していた。

桜智は深々と頭を下げて何度も謝った。

とうとう鴻の妻にバレて怒ってここまでやって来たと思ったからだ。

「すいません。

家庭を壊すつもりはなくて…」

「わかってる。
お金が欲しかったのよね?

じゃなきゃあんなおじさんとあなたみたいな若い子が付き合う筈がないもの。

お金なら出すわ。

このお金で分相応な部屋に引っ越しなさい。

言っておくけど今後の生活まで面倒みるつもりは無いから
もっと欲しければ他の男探しなさい。

お願いだから一刻も早くここから居なくなって。

いい?主人にも波瑠にも二度と会わないと約束してちょうだい。」

桜智は100万円入った封筒を渡された。

桜智はそのお金を受け取りたくなかったが
鴻から離れるためには必要だ。

それに鴻にも波瑠にも結局金目当ての女だったと思われた方が上手く別れられる気がした。

「わかりました。

二度と逢いません。」

「話が早くて助かったわ。

じゃあこの念書にサインして。

それから私に会ったことは決して言わないで。」

桜智はサインしてお金をもらって
部屋を出て行った。

今の桜智にはそうするしかない。

鴻の妻まで傷つけてしまったと反省した。





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