コガレル ~恋する遺伝子~


「う、うーん…」

 思わず唸り声が漏れた。
 ついてない。
 近付けば見えるのは、高い塀と建物の天辺だけだった。

 不思議と諦める気は起きなくて、塀沿いに歩くことにした。
 正面は多分こっちと、見当をつけて右方向に。

 当たり!
 左に進んでたら遠回りだった。
 もしかしたら隣接する建物に行く手を遮られてたかも知れない。

 遠くから見た時は公園関連の施設かと思った。
 でもそれは間違いで、どうやら個人の住宅みたい。
 車の出入りする跳ね上げ式のゲートの隣に屋敷の門扉。
 どちらも硬く閉ざされてる。
 でもゲートの目線よりも上の隙間から、建物の様子を窺い見ることができた。

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