コガレル ~恋する遺伝子~
「弥生の初めての相手は俺です」
何を…
ウエイトレスが去ると、白岩が脈略のない話を再開した。
「高校生の彼女を、」
「いい加減にしろ」
止めろ、そんな話を聞きに来たんじゃない。
「すみません、話の流れに必要だったので」
謝ってはいるが悪びれてない。
白岩は水のグラスを手に取った。
コースターの外側に結露が落ちて、テーブルを濡らした。
「弥生はそういう関係になったことを、俺の両親に申し訳なく思うようになりました。特に、父に。
自分は血の繋がりもない、連れ子でもない。
義理の妹の子供を養わされる父の、その息子と関係を持ってしまったって」
お前のせいだろ。
「あんたがしっかりしてれば、弥生はそんな思いを抱かずに済んだ」
白岩はグラスを置くと、蔑むように俺を見た。