コガレル ~恋する遺伝子~

「それに、何?」

「奨学金を返してるんです。
働かないとダメなんです」

 大学の授業料は奨学金で払ってた。
 “奨学金”と言う名の借金。
 それ以外にかかる生活費はバイトしてまかなった。
 貯蓄と呼べるものは、ないに等しい。

「そんなの俺が払うよ」

 私が何年もかけて達成することを、何でもないことのようにそう提案する圭さん。
 首を横に振ると、またため息をつかれた。

「返し終わるの、あとどれくらい?」

「一年半か二年か…」
「ハァ?
どんだけ俺を待たせんだよ!」

「…ダメ…ですか?」


 怒ったように見える圭さんは、残りのジントニックを一気に煽った。
 しかも私のカクテルまで奪って飲み干した。
 おもむろに立ち上がって足元のバッグを拾い上げると、反対の手で私の手首を握った。

「行こう、ほら」

 ほら、ってどこに…

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