コガレル ~恋する遺伝子~


 ソファに背中がついて、押し倒されたことに気づいた。

 圭さんは床に降りると片膝をついた。
 唇に触れるだけのキスをされたその直後、私の身体が高く浮いた。
 お姫さま抱っこされて、私は圭さんの首にしがみついた。

「圭さん、」

 記憶が…蘇った。

「夢と同じです」

「夢?」

「初めてあのお屋敷を訪ねた日。
夢でもこうやって浮かびました。」

 圭さんは一瞬目を丸くした後、フッて微笑んだ。

「あの時、すごく幸せだったんです。
ずっとそうしてたかったから、ギュッってしました」

「そう」

 …あの日倒れた私を運んでくれたのって…
 記憶を辿るように、圭さんの首元へそっと頬を埋めた。

< 257 / 343 >

この作品をシェア

pagetop