コガレル ~恋する遺伝子~


 それから静かに閉じられたドア。
 部屋の真ん中にはキングサイズのベッド、窓には重厚なカーテン。
 今の唯一の照明、サイドランプがぼんやりとそれらを照らしてた。

 薄暗いようでもこれからを予想するなら、もう少し明かりを落として欲しいくらいだった。

 手を引かれたまま、ベッドに並んで腰掛けた。
 近づこうとした距離に身を引いた。

「圭さん、」

 理性が流される前に、言葉にしておきたかった。

「離れたら、圭さんは手の届かない人だったって思い知りました」

 長いまつ毛の下で揺れる瞳を見つめた。

「だから今、夢を…見てるみたい…」

 掌をそっと圭さんの頬に当てた。
 圭さんはその手の平にキスをして、リアルだと教えてくれた。


「夢なら良かったって、思うかもよ…」


 妖艶な圭さんの前で、初めての私は翻弄された。

 胸が苦しいのは息継ぎもできないキスのせいなのか、全身を触れ回る指のせいなのか…
 声が抑えきれない…

 圭さんが傍らからたぐり寄せた封筒。
 中から小さい箱を出すと、封筒だけ遠くに投げ飛ばした。
 封筒の行方を目で追ったら、
「俺を見て」そう言って、未開封の箱を開いた。

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