コガレル ~恋する遺伝子~


 気づいたら、まだ圭さんの腕の中だった。
 ただ圭さんは眠ってて動かない。
 考えてみれば、寝顔を見るのは初めて。
 目を閉じてるとまつ毛の長さが余計に際立つ。
 シミもおうとつもなくて、肌が綺麗。
 でも薄らと髭の影が見えた。

 男の人なんだ…
 さっきまでだってそれを実感させられた…
 白くなる先が怖かった。
 自分が醜態を晒すんじゃないかって…

 だから「もう止めて、」って何度もお願いしたのに。
 私が泣いたら、余計に腰を掴む手を強められた。
 許してもらえなくて、奥深くまで沈み込まれた…

 でも怖かったのは、どこかに飛ばされそうになった時だけ。
 あの瞬間を除けば、優しい言葉と甘い時間に私が溺れてたのは確か。

 腰の下に敷かれてたバスタオルはいつの間にか片付けられて、ベッドの端で邪魔にされてたはずの上掛けに、二人は包まれてた。
 今、腕枕したまま寝てる圭さんが、脱力してしまった私を世話してくれたんだと思う。

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