コガレル ~恋する遺伝子~

 カメラマンはもちろん冬馬君のこと。

 冬馬君…
 確かに仲は悪くない。
 昨日は食事に行く約束があるなんて思わず言っちゃったし。
 でもそれはもちろん、仕事仲間としては良い関係ってだけで…
 でもそれだけじゃない、彼の存在で私が救われた部分もある。
 恋愛感情とは違う。
 どう説明したら、いいんだろう。


「冗談だよ」

 圭さんはフッと笑った。

「そんなに深刻な顔されたら、不安で帰れなくなるでしょうが」

 変な圭さん。
 不安になるのは私の方なのに。
 今日撮影されてる時の圭さんは、私の知らない人だった。
 近寄り難いオーラがあった。

 東京に帰れば圭さんはまた綺麗な人に囲まれて、たくさん出会いのある仕事が待ってるのだろうし。

「すみません、彼女のお勧めの馬刺し下さい」

 圭さんがカウンターの大将に注文した。

「はいよ、お兄さん今夜は馬力が出るよ!」

 圭さんは妖しい顔で
「どういう意味だろうね?」って、私にだけ聞こえるように言った。

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