コガレル ~恋する遺伝子~


 そんな弥生が俺にキスした。
 弥生からされたキスは初めてで…心が震えた。

 許してもらえる…の…?
 深くキスをして確かめた。
 薄く開かれた唇は…その答え。

 弥生を取り戻した。
 俺の安堵がどれ程かを、言葉に表すことはできない。
 止められないキスで分かって欲しい。
 生まれてしまった熱を唇に逃がした。

 目の前の人はなぜかキスの途中、鼻呼吸をしない。
 だから今も涙目になって、いや、元々涙は流してたんだけど、今は呼吸困難の涙目で間違いない。
 この涙目に俺が揺さぶられるのを、分かってるのか…

 分かってないな。
 今は機嫌を損ねたくないから、後ろ髪を引かれる思いで唇を離した。

「デートしよう」

 思えば弥生と外でデートをしたことなんてなかった。
 普通から。
 もう一度普通から始めよう。

 頬の涙の跡を手で拭ってる弥生の唇を、もう一度だけ奪った。
 戸惑う顔を至近距離で笑ってから、エンジンをかけた。

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