コガレル ~恋する遺伝子~

 泣かす。
 今夜は大人しくて従順にはならない。
 弥生をソファに押し倒した。
 驚いた直後、覚悟のような表情がキスを誘った。
 でもその覚悟、あと少し取っておいて。

 弥生を抱き上げた。
 落ちないように首に手を回すから、顔が近づいた。
 初めて会った日と同じだ。
 あの日と違うのは、弥生の目が開いてること。
 だから会話もできる。
 弥生はこの状況でなぜか夢の話を始めた。
 まだ余裕が残ってるらしい。

「初めてあのお屋敷を訪ねた日。
夢でもこうやって浮かびました」

 夢ね…
 確かに爆睡してたからね。

「あの時、幸せだったんです。
ずっとそうしてたかったから、ギュッってしました」

 弥生には夢の中の出来事でも、あの時俺は囚われた。
 首も心も。

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