コガレル ~恋する遺伝子~

 身体を沈めてみたら、弥生は俺から離れて向かい合った。
 バラが邪魔してデコルテから下は見えない。
 多分体育座りしてる。

 ガード硬すぎ…

「普通さあ、こういう場合、女の子はここに背中つけて入るもんじゃない?」

 そう言って自分の胸をポンポン叩いた。
 二人が沈み込んだ後、一度は定着した花びら。
 俺の手の動きに合わせて再び水面を行ったり来たりした。

 弥生は訝しげな視線と共に聞いた。

「それ、どこの普通の女子ですか?」

「涌井が言ってた」

 適当なことを言って、適当に笑ってごまかした。
 いい加減な俺のセリフに、さすがの弥生も緊張を解いて苦笑いした。

「ほら、見ないから」

 そう言って手を掴んで、自分の元へ移動させた。
 弥生の線の細い背中を、腕の中にスッポリと収める。

 ウエストに俺の片腕を回すと、弥生の腕も上に重ねられた。
 さっき洗ってやった髪の毛は、弥生の手首にあったゴムで団子にまとめてられてる。
 滅多に目にすることのない、風呂限定のレア髪型で可愛い。
 まとめ切れてない後れ毛は煽情的で。

 身体を少し倒すと、その項に唇をつけた。
 前のめりになったついでに、腕を胸に意図的にずらした。
 自分にはない柔らかさに、少し夢中になった。

 弥生は抗議のために振り向いたから、その顎に指を添えて、唇にキスした。


「今日は残念だけど、長湯できないから」



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