コガレル ~恋する遺伝子~



 風呂から上がって、バスローブを羽織ると、髪の毛をドライヤーし合った。
 弥生の髪の乾かし具合の雑さに「丁寧に、」って、言われたけど。

 これ丁寧に乾かしきったら、何十分かかんの?
 俺の色んな事情は湯の中の密着で分かってるはずなのに。
 この人、わざと焦らしてる。

「限界…」

 ドライヤーを置くと、弥生をベッドルームへいざなった。
 デカいベッドの端に並んで腰かけさせて、さあ引き寄せようとしたら、身体をずらして距離を開けられた。

「圭さん、」

 返事はしなかった。
 まだ焦らすのかと…
 拗ねた態度はスルーされて、弥生は俺のことを“手の届かない存在”って言った。

 出会った翌日から親父の婚約者と聞かされて、思いが通じたら妹って言われて、挙句の果てには行方すら分からなくなった。
 手に入らないって、嘆いてたのは俺の方なのに。

「だから今、夢を…見てるみたい…」

 弥生が手を伸ばして俺の頬に触れた。
 弥生を見つめれば、多分ウルウルの下の瞳には俺が映ってるんだろう。
 できるなら、このまま俺以外の人間を映さないで欲しい。
 頬の手の平をずらして、唇で触れた。

 夢はもうたくさん…

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