コガレル ~恋する遺伝子~

 腕をこする髪の毛のくすぐったさと、僅かなスプリングの揺れで目が覚めた。
 弥生がそっと布団をめくって、起き上がろうとするところだった。

「どこに行くの?」

 とっさに手首を掴んでた。
 弥生は一度帰ると言う。

「部屋も編集部も車で送るから、もう少し寝よう」

 弥生をベッドに引き摺りこんだ。
 背中から抱きしめたら、項がちょうど顔の前にある。
 噛み付きたい衝動を抑えて、唇で触れる。
 同時に手は柔らかさと肌の滑らかさを堪能しながら、腹から下に指を滑らせた。

「痛む…ここ?」

 今更償うように優しく撫でると、弥生が俺の指をそこから引きはがした。

「…まだ中にあるような感覚が…」

 思わず漏れた吐息と一緒に、朝の元気が反応した。
 背中を抱いてるのが悔やまれた。
 そのセリフをどんな顔して、どの口が紡いだのか見たかった。

 いや、見なくて良かった。
 きっと弥生は今日出社できないか、あるいは使い物にならなかっただろう。

 我慢我慢…

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